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自家用法人を始めたいきさつ

早期退職後、暫くは無職だった。そうすると社会保険が問題になる。妻も専業主婦なので、国民年金の保険料が二人分必要になった。そして、退職後2年間は健康保険の任意継続被保険者となっていたが、それ以降は国民健康保険になる。

社会保険料は給与額で決定される

ところで、国民健康保険の保険料は固定資産や所得に応じて料金が決まる。家は賃貸だったから固定資産はなかったけど、株式の配当金の源泉所得税を還付して貰おうと配当金を申告したため所得が増えて、国民健康保険の保険料が殆ど上限になって却って手取りは減ってしまったという失敗をした。(任意継続被保険者の時は、株式の配当金を申告しても保険料は固定だった。)

そこで考えた。自分で法人を設立して給料を貰えば厚生年金に入る事が出来て、妻は扶養家族になる。保険料は給料にほぼ比例するけど、下限(と上限)はある。その当時は標準報酬月額が9万8千円(給与10万1千円未満)の時に保険料が下限になる。その下限の保険料の年額(会社負担分と個人負担分の合計)と赤字法人でも必要な法人住民税の合計は国民年金の二人分と所得がゼロとして計算した国民健康保険の保険料の合計額よりも少なかった。

折しも、会社法が改正されて会社を設立し易くなることが決まっていた。個人が会社を設立しスモールビジネスを始める事を政府としても応援していると私は解釈した。それに、前の会社を辞めて肩書が無くなり、職業は無職としか書きようがないのも嫌だったから、自分の会社を作ってみようと思った。

それから暫くして、新しい会社法が施行された2006年5月1日に自分の会社を設立した。日本初の合同会社だ。設立時間の登録は無いから、その日に設立された合同会社は全て日本初になるけど。

給与は当初10万円にしていたけど、会社が黒字になる見通しが無かったから赤字を増やすのも無意味だと直に悟って給与所得がゼロになるように減額し、それ以来ずっと54,200円にしている。この12倍は650,400円、65万円の給与所得控除があるから400円、更に1000円未満は切り捨てなので、給与所得がゼロになる勘定である。

給与を下げた事で、健康保険料のみ標準報酬月額の最低が5万8千円(給与6万3千円未満)に改定された恩恵にも浴することになった。

追記: 2016年10月より、厚生年金保険料の標準報酬月額の最低が9万8千円から8万8千円に改定された。

法人役員は登記される

無職が嫌と言うなら、法人を設立しなくても個人事業という事にすれば良いのではないかとも思った。しかし、勝手に名乗っても所詮は自称の職業である。実態がなければ無職と書かれる。

しかし、法人の役員は商業登記簿に登記される存在である。法人が法的に存在する限り(事業を何もして無くても)、役員もまた法的に身分が証明されているのだ。(会社員でも、社会保険への加入を通して、役所からは会社員として登録されていることになる。)

これで、所属先と職業(会社経営)を堂々と名乗れるようになるのだ。

定収入が得られる

貸金業法では、与信枠は年収の1/3に規制されている。
貸金業法 第13条の2 貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合において、前条第1項の規定による調査により、当該貸付けの契約が個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない。 
第2項 前項に規定する「個人過剰貸付契約」とは、個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約で、当該貸付けに係る契約を締結することにより、当該個人顧客に係る個人顧客合算額が当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に3分の1を乗じて得た額をいう。次条第五項において同じ。)を超えることとなるものをいう。
勿論、お金に困ってなければそんな事はどうでも良いのだが、海外旅行の際にクレジットカードでキャッシングしようとする時、キャッシングの与信枠がないとお金を引き出せない。

その年収として、給与は文句なくOKだが、その他の収入となると、下記しか認められていない。
貸金業法施行規則 第10条の22 法第13条の2第2項 に規定する年間の給与に類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものは、次に掲げるものとする。
第1号 年間の年金の金額
第2号 年間の恩給の金額
第3号 年間の定期的に受領する不動産の賃貸収入(事業として行う場合を除く。)の金額
第4号 年間の事業所得の金額(過去の事業所得の状況に照らして安定的と認められるものに限る。)
従って、投資をしてどんなに沢山稼いでいても、それ以外に収入が無ければ貸金業法的には無収入として扱われるのだ。おかしな話だが、法人が無収入でも給与を貰っている役員個人には定収入があるのだった。