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資本金の決め方

業種によっては、資本金の額が許認可に関係したり、或いは取引にも関係したりする。しかし、自家用法人の資本金なら純粋に内部事情で決めて良い。

資本金が高いと費用が嵩む

確かに、資本金が大きいと見栄えは良い。しかし、資本金が増えると費用も嵩む。
  • 8,585,999円の壁 (合同会社の資本金がこれを越えると設立時の登録免許税が高くなる。株式会社の場合は21,442,999円までは同じ。)
  • 9,999,999円の壁 (資本金がこれを越えると設立当初から消費税の課税事業者にされる。)
  • 1千万円の壁 (資本金がこれを越えると法人住民税が高くなる。)
コラム: 登録免許税の額は、資本金から計算される額と最低額のどちらか高い方で、最低額は合同会社が6万円、株式会社が15万円。一方、資本金の0.7%が計算される額、但し資本金の1,000円未満は切り捨てて計算して税額の100円未満の端数も切り捨て。

資本金が低すぎても問題

資本金は1円以上任意の額が可能である。それで資金が不足するなら、私が会社に貸し付ける形(役員借入金)で資金を入れても構わない。

とは言え、低すぎるのも問題だ。以前、法人カードを作った事がある(既に解約したが)。その書類には資本金の欄があって、単位が百万円になっていた。もし資本金が1円の会社だったら、0.000001百万円 とでも書くのだろうか?

そういう経験から資本金は百万円単位にするのが無難だと思う。

資本金を配偶者も出すと

シンプルに行くなら、資本金を出すのは一人で良い。しかし、配偶者にも資本金を出して貰えば場合に応じて役員報酬を出すことも出来る。配偶者を代表社員とする事も出来るし、非常勤役員として(役員報酬を出しても)社会保険に加入しない事も出来る。

そのような含みもあって、我が自家用法人は、自分が百万円、妻も百万円 出資して資本金を2百万円とした。

債務超過だと会社は清算出来ない

我が社は、毎年の法人所得額をゼロにするよう決算している。法人所得額は役員報酬や社会保険料の会社負担分(法定福利費)などの費用で赤字になるから、その分は役員借入金の債務免除という形で帳消しにする。

それでも、創立以来に支払った法人住民税の累計額だけ社員資本は目減りしている。そして、このまま事業を何もせずにいると年度末に債務免除しても社員資本がマイナスになる時(債務超過)が来る。

それでも役員借入金によって預貯金がプラスになっている限りは会社の存続に問題は無いし、会社の面倒を見る人がいる限り、会社は存続出来る。

しかし、自分が歳を取り、後継者もいないのなら、適当な時期に会社を解散しなければならない。自分の年齢が、60歳、65歳、70歳、75歳に達した時点で社会保険の適用が変わるのでそれが節目だ。(それと、被扶養者の配偶者が60歳に達した時点。)

持分会社の解散方法には、清算と破産がある。清算する方が手間も費用も掛からないのだが、債務超過だと(自分以外の債権者がいなくても)会社を清算する事が出来ない。(…破産でしか会社を解散出来ない。)

債務免除額を増やせば債務超過を回避出来るが、その債務免除益により法人所得額がプラスになるので税金が掛かる。

会社を精算する前に増資するという方法もあるが、増資額の他に登録免許税が増資額の0.7%か3万円のどちらか高い方の額が掛かる。

だから、そのような無駄な費用を掛けないように、会社設立時にその会社を何年位存続させたいのかを考えて資本金の額を決めたら良いと思う。

法人を登記する自治体により赤字法人の法人住民税は異なるが、安い所で年額7万円、我が自家用法人の場合は年額8万2千円(資本金が200万円なので、債務超過になるまで24年余り)である。