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自家用法人に必要な事務作業

事業に必要な作業以外の、日本の法人として存在するのに(法人及び役員として)最低限必要な事務作業について述べる。

従業員はいない前提。(被雇用者がいると、雇用保険、労災保険、健康診断、労務管理、雇用契約、等の作業が増える。)

役員報酬は支払うが、それによる源泉所得税、住民税の特別徴収は発生しない前提。

法人税額は発生しない前提。(所得が 0 又はマイナス)

モデルとしては、合同会社、社員(=出資者)は2名でそれぞれ百万円出資、役員報酬は1名(私)のみに支払いで月額54,200円、賞与は無し、法人口座はM銀行とゆうちょ銀行、役員の給与口座はゆうちょ銀行、事業は全く営まない、役員も会社も住所はA県B市、である。

設立時や移転時に必要な事務作業は除き、年間でこれだけの業務(事務作業)が発生する。毎月の社会保険料の支払いは、法人口座から引き落とすように手続きしてあるので事務作業は発生しない。

毎月の仕事

  • 給料日に給与振込(と法人口座通帳の記帳)。ゆうちょ銀行のATM(月1回まで振込無料)又は ゆうちょダイレクト(月5回まで振込無料)から私のゆうちょ口座に振込む。
  • 年金事務所から郵送される社会保険料の領収書兼請求書を保管(最低10年間)。

年に2回の仕事

  • 1月初めと7月初め 所得税源泉徴収簿を記入。
  • 1月初めと7月初め 所得税徴収高計算書をeTAXで税務署に送信。(この報酬額では税額は0円なので、所得税を納付する必要はない。)
  • 3月頃と9月頃 社会保険料控除後の役員報酬振込額を計算する。毎年、厚生年金の保険料率は9月分(10月納付)より、健康保険の保険料率は3月分(4月納付)より変更されている。その他、標準報酬月額の等級が変更された場合も計算する。年金事務所から郵送される毎月の社会保険料の領収書兼請求書の封筒に新しい料金表は同封されている。
源泉徴収については、給与の支給人員が常時9人以下の法人では納期の特例を受けることが出来るため、年2回の作業で済む。特例を受けなければ毎月の仕事になる。

役員への賞与は会社の損金にならない(例外: 事前確定届出給与の届け出をする)ので賞与無しが一般的だけど、もし賞与を出せば社会保険事務所に届(注)が必要。
(注) 被保険者に賞与を支払った時は、支給日から5日以内に「賞与支払届」と「賞与支払届総括表」を日本年金機構に提出する義務がある。

年に1回の仕事

  • 1月中 償却資産報告書をB市役所に提出。(自治体によっては償却資産が無い場合は提出不要)
  • 1月中 給与支払報告書をB市役所と税務署に提出。eLTAXを使うと税務署へも送信(2017年度の支払い調書から可能になった)してくれる。 個人別明細書の方は同時に複写式の紙の用紙にも手書きして、その中の源泉徴収票の部分を(給与所得者の)私に渡す。
  • 1月中 もし、給与以外に支払調書の提出が必要な報酬等を支払っていれば、その分の支払調書とその法定調書合計表をeTAXで税務署に送信。
  • 1月給料日迄に 給与所得者の扶養控除等申告書を(給与所得者の私に書かせて)保管。
  • 5月中 B市役所から届いた(給与所得者の私宛の)特別徴収額決定通知書を私に渡す。特別徴収の納付書(会社が天引きしてB市に支払う)も同封されているが、徴収額が0円なのでゴミ箱へ捨てる。
  • 7月初め 報酬月額算定基礎届を社会保険事務所に提出。
  • 7月中 被扶養者状況リストによる被扶養者資格の再確認と提出。事業主として、各被保険者(給与を支払っている役員、従業員など)に対して、協会けんぽから送られてきた被扶養者のリストにある被扶養者の資格を再確認し、結果を協会けんぽに返送する。そして、事業主控えを保管する。
  • 年度末前、又は資金不足時 会社運転資金の調達。(役員としての私が)年間の必要額を法人口座へ振り込む。(会社会計では役員借入金として仕訳する)
社会保険事務所への書類の提出に加えて、数年に1回は聞き取り調査というものがある。その年には単に提出でなく、所得税源泉徴収簿を持っていって説明する。

出勤簿(労働基準法に作成義務の規定がある)というものも出すように言われるけど、役員しかいない(=労働者はいない)ので作ってないと答えている。

年に1回の仕事(決算時)

  • 2月中 決算 決算書類の作成、とその保管(最低10年間)。
  • 2月中 法人税確定申告書をeTAXで税務署に送信。
  • 2月中 法人県民税確定申告書をeLTAXでA県税事務所に送信。
  • 2月中 法人市民税確定申告書をeLTAXでB市役所に提出。
  • 2月中 法人市民税と法人県民税を銀行窓口で支払い。法人口座の通帳と会社の銀行印を使って支払うと、通帳の摘要欄に税金と記載出来る。手数料は不要。
決算時の業務が2月中なのは、我が法人の決算期が12月31日になっているからである。この時期は個人の確定申告の時期にも重なるので決算書を出さねば、という気分が高まって都合が良いと思って、そう決めた。それに、決算年度と暦年が一致しているから、前年の仕訳帳ファイルの年度を文字列置き換えで一括で変換して次年度の仕訳帳の元データを作れるから便利である。

電子申告(eTAXとeLTAX)には電子署名が必要。それには法人代表者個人の電子証明書であるマイナンバーカードが使える(法人の電子証明書も使えるが費用がかかる)。有効期限が切れた場合は電子証明書の更新が必要になる。