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自家用法人のメリット・デメリット

自家用法人とは、他の利害関係者を持たない会社だと思っている。従業員も出資者も融資も全部無いか自分(又は家族の範囲)で。せっかく自由に生きようとしているのだから、余分な責任は持ちたくない。自分と家族の為だけに存在する法人なのだ。

そして、税理士という他人が関与するのも嫌だ。だから、経理も税務も全部自分で。面倒くさい事は嫌いだけど、それを如何に簡単にするかの工夫をするのは好きだ。簿記と表計算ソフトと法人税の勉強をして、会社事務が極力少なくなるように経理のルールや会計システムを作る。そのようにしていると、事業を何らせずとも、会社の隅々まで自分が把握し運営している実感が湧く。

何か事業をやっても良いけど、物を売ったら製造責任が顧客に対して生じる。だから、もし自家用法人が事業をするなら情報を売るのが良いだろう。仕入れや在庫に悩む事も無いし、自宅で出来るし。会社の住所を自宅に出来なければレンタルオフィスに登記する事も出来るけど。

これ迄に気付いた自家用法人のメリット・デメリットを列挙する。

自家用法人のメリット

  1. 夫婦とも無職の場合なら、二人分の国民年金と家族全員の国民健康保険の料金が必要となる。そしてその国民健康保険の料金は収入に応じて高くなる。一方、自家用法人を設立し役員報酬を受け取れば 配偶者を扶養家族にして 一人分の社会保険料を納めるだけで済む。そして、その役員報酬の額を低くすれば、会社負担分も含めた社会保険料や法人税等の必要経費全ては 無職かつ無収入の場合に必要な国民年金と国民健康保険の料金負担よりも少なく出来る。
  2. 配当金などの給与以外の収入が増えても自家用法人の社会保険料は増えない。その一方で厚生年金に加入して掛け金を払っているのだから、厚生年金の年金額も増える事になる為、無職で国民年金に加入する場合よりも有利である。
  3. 職業として無職ではなく、会社経営とか会社役員とか書ける。単にプライドの問題だけでなく、クレジットカードや賃貸住宅へ入居する時の審査とかにも影響する。私の経験では、子供の奨学金を申請した時、無職だと生活費をどうしているかを詳しく書く必要があったけど、自家用法人のお陰で書かずに済んだ。
  4. 年収がある。投資による売却益や配当金だけなら公式には収入とは認定されず、クレジットカードのキャッシング枠も貰えない。私の場合、自家用法人の給与で年収65万円あるので21万円の枠(貸金業法で年収の1/3以内という規制がある)が貰えた。キャッシングの枠が無いと海外キャッシングも出来ないので海外旅行で不便。
  5. 万が一、本人の身に何かあっても厚生年金の現加入者だから遺族厚生年金が家族に支給される。もし、45歳未満で無職だったら受給資格(25年以上加入)を満たして無いために、過去に厚生年金に加入していても遺族厚生年金は貰えない。
  6. 会社として必須の事務を全部自分でやる事で経理や税務に詳しくなるし、それで財務諸表や経済を深く理解出来るから投資にも役立つ。
  7. 法人市民税と法人県民税の支払いを自分の住む自治体への寄付だと考えれば、それで自分の住む住環境が改善出来るし、寄付すべきか悩む必要もない。
  8. 自家用法人の運営でやるべき事が生じるので、ボケ防止に役立つ。
  9. もし、我が子が就職に困ったとき、自家用法人に就職させる事も可能。我が家の子供達は経歴に傷が付くからそれだけは嫌と言ってるけど。逆に、それもニート化防止効果があるとは言える。

自家用法人のデメリット

  1. 法人の登記事項は公開され、法人名さえ分かれば法人の住所は検索で簡単に調べられる。つまり、自宅に法人を登記していれば個人の住所が簡単に知られる事になる。法人を別の場所に登記していても、役員の名前と住所もやはり登記事項なので(法務局で登記事項証明書を請求すれば)誰でも知る事が出来る。
  2. 設立するためには資金・会社関連の法律知識・会計の知識と手間が必要である。自宅に法人を登記するとすると賃貸物件の場合には家主の了解が必要な場合がある。移転や法人の解散にも費用と手間が必要になる。
  3. 運営にも費用と手間が必要である。会計帳簿を作成し、年度毎の決算書を作成。毎月の役員報酬の振込み、年2回の源泉徴収高計算書、年1回の標準報酬月額の調書、年末調整の調書、法人税申告書、法人県民税申告書、法人市民税申告書の提出。そして、事業を営まず赤字経営の場合にも法人県民税と法人市民税の支払いが必要。
  4. 法人の移転と廃止(解散公告と解散登記)にも費用と手間が必要である。
  5. 自家用法人を設立しなかった場合との比較で、社会保険料と会社に掛かる税金の総和は役員が60歳を超えた場合には、不利になる。(厚生年金に加入しない場合には必要となる)国民年金保険料の払込みは不要になる一方で、社会保険料は変わらないから。
  6. 事業資金を役員が会社に貸し付ける場合(会社の帳簿上は役員借入金という勘定科目)には、その貸付金は役員個人の財産となり、子孫への相続に際しては相続財産となり相続税の対象となる。自家用法人が利益を上げてその貸付金を返して貰える見込みがないなら、債務免除により貸付金額を減らす必要がある。

デメリットを減らす

私は、経済的自立を成し遂げ雇用から解法された人が 組織に所属していることが前提の日本という社会で堂々と生きていくには 法人という制度を自分のものにしてそのメリットを享受するべきだと思っている。その為には自家用法人のデメリットを極力減らす事である。

デメリットの殆どは法人運営に必要なコストと事務作業である。コストは運営の全てを自分で行う事で極限まで減らせる。残るは税金等の費用だが、それは社会への寄付だと割り切れば惜しくは無い。そうすると運営の事務作業を如何に楽にするかが問題になる。

楽にするためには事務作業が極力減るような運営の仕方、運営のツール開発、運営のマニュアルが必要だと考えている。だから、このサイトで これまでの経験をまとめて、それらのノウハウを全て公開していく。

なるべくゼロを目指す

手間を掛けずに自家用法人を運営する為には、何事もなるべくゼロとなるように定めるのが良いと分かってきた。
  • 従業員を雇わない。…就業規則作成が不要。雇用保険、労災保険も不要。
  • 固定資産を持たない。…固定資産管理が不要。減価償却の経理も不要。業務で情報を扱うにしても、昨今はデジタル機器の値段も下がったから 固定資産にならない金額の機器でも十分に仕事は出来る。
  • 在庫を持たない。…事業をする場合でも、情報やサービスに限る。物の管理や置き場所が不要だし製造物責任も生じない。
  • 現金を持たない。…お金のやり取りは全ては銀行口座経由で行い、銀行通帳に全ての記録が残るから、会計帳簿は年1回だけつける事が可能になる。
  • 給与所得をゼロにする。…役員報酬額を低くすれば、社会保険料は最低額になるし源泉徴収や住民税の特別徴収も無くす事が出来る。その一方で、キャッシングの限度額も下がるから、給与所得額がゼロとなる上限である年収65万円に設定するのが良いと考える。
  • 経費をゼロにする。…事業をしないなら、役員報酬と社会保険料と税金のみを帳簿には載せ、それ以外の必要経費は 全て役員の財布から出す。赤字額を増やしても経理の手間が増えるだけ。
  • 法人所得をゼロにする。…年間で赤字の場合で、将来も黒字にする気が無いなら決算時に役員借入金の債務免除益で法人所得をゼロにする。法人税申告書の繰越欠損金の記載が不要になる。
  • 銀行預金の利子をゼロにする。…法人口座を「決済用預金」というものにすれば利子はゼロになる(と同時に銀行が破綻しても、貯金額の全額が保障される)。法人申告の際に貯金の利子があると(特に赤字法人の場合は)申告が非常に面倒になるため、僅かばかりの利子は貰わないようにする。