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2019年4月13日土曜日

証券の法人口座を作るか

突然、証券の法人口座を作る気になった。

自家用法人はどこまで簡素な会社が作れるのかの実験なので、そんな余計な事をするのは今までの方針に反する。しかし、その一方で自家用法人の新たな可能性を試してみてその報告をするのにも意味があると思うのだ。

法人で投資する意味

個人で投資する場合、配当金や売買益に掛かる税金は 20.315% である。資産を特定口座にあずけてあれば源泉徴収されるので、申告する手間もいらず、また所得にもカウントされないので非常に便利だ。

一方、法人で投資する場合、資産の売買や配当金の受け取りを記帳する義務があるし、所得に対する税率は個人投資の税率を上回る。しかし、投資益から会社の必要経費を引いて所得を計算するので、投資益がその範囲内であれば法人での投資の意味が出てくる。
我が自家用法人の所在する県の 400万円以下 の所得に対する2019年4月1日以後開始事業年度 …法人税率が15%から19%にup… の実効税率を計算してみると 約25.9% になった。(法人住民税の均等割額を除く)
更に、投資先が日本株なら配当金の20%は益金不算入(外国株の配当金には適用されない) に出来る。これは、配当金が法人税を課税した後の剰余金から支払われる為にその配当金に対して課税するのは二重課税になるので、それを是正する為の処置とされている。以前は50%を益金不算入に出来たのだが、2015年4月1日以後開始事業年度からは20%に減らされている。
但し、5%以上保有する大株主なら50%、1/3以上保有する大株主なら100%が益金不算入になる。
個人の場合にもこの二重課税の是正する為に配当控除という制度があって、課税所得が695万円以下の人なら日本株の配当金について申告した方が節税になるらしい。

自家用法人の必要経費

投資以外に事業活動をしていないなら必要経費として認められるものは数少ない。役員報酬と法定福利費位のものである。2018年の我が自家用法人の例では 790,513円 にしかならない。(妻を非常勤役員にしたり、現住居の賃貸契約を法人名義に変更したりして更に必要経費を積み増すことも可能だが。)

収益を日本株の配当金に限ったとして20%の益金不算入を考慮すると約98万円の配当金までが無税で受け取れる(法人住民税の均等割額を除く)。即ち、投資の為に法人を設立しても精々20万円の節税である。この節税額に対して、法人を維持するには法人住民税の負担や会計と確定申告の手間(これを税理士に丸投げするなら年間約30万円程度は必要らしい)などが加わるから投資の為に法人を設立するのは割に合わない。

しかし、社会保険や所属先を求めて設立した自家用法人であれば、ついでに法人でも(必要経費の範囲で日本株の配当金を得るという作戦で)投資するのは悪くない。

自家用法人を債務超過にさせない

だが、自家用法人で投資する本当の目的は、節税よりも益金不算入を利用した債務超過防止策である。

我が自家用法人は収益を生む活動は何もしていないが、申告する所得は毎年 0円 である。役員報酬と法定福利費は役員借入金で支払っているのだが、その分だけ決算時に債務免除しているから所得は赤字にならない。しかし、損金に出来ない法人住民税の分だけ損失を出しているから、その損失の累積額はいずれ資本金額を上回る時がやって来る。債務超過である。

私が自家用法人を支えている限り、債務超過になっても倒産する訳ではないのだが、債務超過の法人は解散させる事が出来ないのだ。

法人住民税を払っても損失が出ないように債務免除額を増やせば債務超過にはならないのだが、そうすると所得がプラスになるから余分に税金を支払う必要が出てくる。

増資しても債務超過は回避できるが、資本金額の変更は登記事項だから、これにもお金がかかる。

ところが、日本株に投資して配当金を得れば、その 20% は益金不算入だから、その額が法人住民税を上回っていれば所得が 0円 かつ税引き後利益がプラスの状態が作れる、ということに気がついた。

今の法人住民税(法人県民税+法人市民税)は年額 82,000円 なので、配当金が年額41万円以上得られるように投資すれば良い。投資額の4%程度だと仮定すると、約1千万円の投資額になる。これでもまだ必要経費には足りないのだが、多すぎると所得がプラスになってしまう。配当金は業績次第で増額される場合があって投資家がコントロール出来るものではないから投資額は必要最低限としたい。
自家用法人の必要経費はある程度コントロール出来るのだが、役員報酬は年度途中で変更出来ない点に留意すると、面倒でも赤字額を繰り越しておいて所得がプラスになっても大丈夫なように準備したい。尤も、益金不算入の効果で実質的な税率は実効税率の8割(=20.72%)であり、個人で投資する場合の税率を僅かに上回るだけである。
必要最低限とは言え、これだけの配当金があれば、社会保険料と法人住民税を賄ってまだお釣りが来る。役員報酬の赤字はそのまま自家用法人に還流させれば良いから(投資額は役員借入金として残るけど)、毎年新たに資金を補填する必要がないシステムが完成する。

証券会社の選定 (投稿後内容変更した)

大抵の証券会社では法人口座が作れるようだが、審査の結果断られることもあるという。しかし、個人で利用している証券会社であればほぼ確実に作れるらしい。

私が個人的に利用しているのは大和証券だ。出金手数料は無料出来ると思っていたけど、それは個人の場合だけで、法人だと出金手数料を無料には出来ない。…と、法人口座を開設してから気がついた。(但し、口座管理料については法人は無料らしい。)
eメンバーの出金手数料は無料になるのだが、eメンバーは個人のみのサービスで、法人はなれない。報告書を電子交付にすればeメンバーになれると勘違いしていた。
投資額に比べてそれらの費用は僅かなもので、気にするレベルではないはずだが、僅かでも手数料が発生すれば、それだけ記帳する手間も増える。最も簡素な会社のモデルを作ろうとしているのだから、その点は妥協はしたくない。
大和ネクスト銀行の口座も作れば出金手数料無料で出金できるらしいと後で分かった。但し、この大和ネクスト銀行では決済性預金は扱ってないとの事で、僅かな利子が発生すればまた記帳や申告で面倒くさくなる。
そこで大和証券には申し訳ないけど、その法人口座は何もしないまま放置することにして、ネット証券では人気No.1のSBI証券に法人口座を作り直すことにした。SBI証券は、ネット証券の中でも飛び抜けて経常利益が大きいから倒産するリスクも少ないと思われる。
5月29日にSBI証券の法人口座を開設できたとの書面が届いた。
続く