娘は食品関連の仕事を探していたが、内定を貰ったのはIT企業のSE職だった。食品関連の企業からは内定が貰えない中、自分のプロフィールを登録しておくと企業の方からオファーが来る仕組みで幾つかオファーが来た。その中から幾つか選んで説明を聞きに行った内の一つが 内定を貰ったIT企業だった。
子供の就活にはなるべく口を出さないようにしてはいるが、意見を聞かれれば思っている事を正直に答える。文系の娘には プログラミングの経験は無いが、プログラムも一つの言葉だし、外国語の得意な娘に出来ない訳が無いと答えておいた。
IT企業のススメ
新卒の就活先如何で一生の勝ち負けが決まる、とは思ってないが、良い企業に入れればとは思う。良い企業が何かは人によって異なると思うが、特に若い間は仕事を通じて目指す人生に必要な能力を得る事が出来る環境である、という事が一番重要だと思っている。
大きな会社だと、その会社の業務を一通り経験させるような研修をさせる所も多い。その会社で一生働くのならその効能も分かるけど、目指す職を得る為に自分に到底合わないような職をやらされるのも嫌だろう。
そういう意味では IT企業は取り敢えずおススメ出来る。何と言っても、現代の知的生産活動でITは欠かせない道具である。最終的にどんな職に就こうともITの知識を身に付けておくと役に立つ。それに、場所や資金が無くても、パソコンとインターネットさえあれば独立して仕事も出来る。
文系とSE
それから、SEに最も必要な能力は、プログラムを書く能力ではなく、コミュニケーション能力と論理思考能力だと言う。プログラムは なるべく書かないのが良いSEなのである。必要なプログラムは既に巷にある。それをうまく組み合わせるだけで大抵の事は出来る。
そう言う意味では、文系はSEに向いている。お客が何をやっていて何を求めているのか、にプログラムを書くよりも関心を持てるのが大事なのだ。
それに、プログラムは人工の言語を使って記述する。言語を扱える人に出来ない筈が無い。勿論、技術的な対象を扱う場合は理系のセンスも必要だが、それ以外は論理思考さえできれば大丈夫だ。
プログラムと言語
私がオブジェクト指向言語の事を理解した時、英語の冠詞と全く同じだと思った。つまり、クラスからオブジェクトを作る(例えば Java だと new というコマンドを使う。)時、あっ、これは英語の冠詞の a と同じだと思い、その作ったオブジェクトを指し示すのが the だと思い、言語の理解にプログラムの知識も役に立つものだと気付いたのだ。
そして、英語が名詞と呼んでいるものの正体はクラスであって、実体を直接示すものでは無いと気付き、それに対して日本語の名詞はそれ自体で実体を表していて、冠詞の説明はそこからやらないと本当に理解した事にはならないはずであると思う。(英語では、代名詞と固有名詞のみが それ自体で実体を示す。)
思えば、コンピュータと同様に 人間の脳の中でも文章中の要素は脳内のメモリに記憶されて処理されているはずで、言語学もIT的な解釈で説明する方が簡単な気がする。
言語学を専攻している娘にもこの感覚を味わって貰いたい、というのもIT企業への就職を後押ししている理由の一つなのだった。