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日経の悪文から文法を考える

日経新聞の今朝の「朴大統領、友人に内部文書」という記事の文章について。

記事を読んでいると次の文章に違和感を覚えた。
疑惑は韓国のテレビ局JTBCが伝えた。海外にいる崔氏がパソコンの処分を依頼した関係者からパソコンを入手し、データを分析した結果、2014年3月にドイツで北朝鮮政策のロードマップを示した演説の草稿など文書44件を発表前に受けとっていたと報じた。
この後ろの文だけを素直に読めば、「パソコンを入手」と「データを分析」と「報じた」 主格は「崔氏」である。但し、「パソコンの処分を依頼」したのが誰かについては疑問が残る。「崔氏」とも考えられるが、内容から考えて自分が処分を依頼したものをわざわざ入手するはずもないから、この文では明示されてないが別の人物であろう、と推測出来る。

しかし、2つの文の内容から考えて、後ろの文は、主格は明示していないが「テレビ局JTBC」であるべき文といえる。つまり、次のように括弧書きして「崔氏が」という節を文全体に掛からないようにすると記者の意図どおりに解釈出来る。
改善例その1: (海外にいる崔氏がパソコンの処分を依頼した)関係者からパソコンを入手し、データを分析した結果、2014年3月にドイツで北朝鮮政策のロードマップを示した演説の草稿など文書44件を発表前に受けとっていたと報じた。
又、主格を明示する事でも解決する。
改善例その2: JTBCは、海外にいる崔氏がパソコンの処分を依頼した関係者からパソコンを入手し、データを分析した結果、2014年3月にドイツで北朝鮮政策のロードマップを示した演説の草稿など文書44件を発表前に受けとっていたと報じた。
文から主格に読める部分を無くしてもOK。
改善例その3: 海外にいる崔氏にパソコンの処分を依頼された関係者からパソコンを入手し、データを分析した結果、2014年3月にドイツで北朝鮮政策のロードマップを示した演説の草稿など文書44件を発表前に受けとっていたと報じた。
以上の改善例から考えて、日本語の文法には、
日本語では、文脈で分かれば 主格はなくても文として成立する。しかし、主格の無い文を書いた積りでも、主格が置かれる位置に「~が」を置くと主格と判断される。
という性質があるものと考える。括弧書きを使えば正しく解釈出来るのは、括弧書きの中身はもはや文の構成要素ではなく、関係者という言葉を修飾するだけの存在であると示せたからである。即ち、括弧内に ~が という分節があっても決して文全体の主格とは判断されない。

話し言葉では括弧を視覚的には表示出来ないが、口調を変える事で同様の効果が見込める。複雑な文章は、括弧書きをもっと活用して分かり易く書くべきだろう。