最近はインターネットが普及して楽になった。
お仕事は何ですか?と聞かれた時に、「ネット関連の仕事を自宅でしてます。」と答えれば特に怪しまれることはないのだ。これは嘘ではない、ネットを使って勉強したり事業のネタを考えたりと色々やっている。問題点はそこから収入がないだけだ。
書類に職業を書かねばならないこともある。例えば子供たちが進学する度に。会社を辞めた後は無職である。実際は投資の収入はあるのだが、投資家と書くわけにもいかない。そんなものは自称に過ぎないのだから公的に何か証明出来るものが必要だな。税務署に開業届を出しておくとか。
別に無職でも恥ずかしがることはないんだけど、定年になるまでは働くのが当たり前という刷り込みがある。それに事件を起こす人には無職が多い。高校生と同じ年頃でも学校に所属してなければ無職だし、この人の職業は泥棒でしょうと思ってもやっぱり無職と報道される。やはり無職とされると何か暗いイメージがついてしまう。
ところが同じ泥棒でもその人が組織に所属していれば暴力団組員などと肩書きをつけて報道してもらえる。やはり肩書きは社会に出るに当たっての必要不可欠のものらしい。もう何かの組織に所属する気はなかったから、肩書きのために弁理士になろうと思った。情報関連の仕事をするのに知的財産権のことは知るべきなのだから、たとえ合格しなくても勉強が無駄になることはない。
弁理士は技術系の仕事とはいえ、試験は全くの法律の問題である。それまで文系の科目は理屈なしに暗記ばっかりさせられて毛嫌いしていたんだけど、法律の勉強は意外にも面白かった。そこには理屈がある。
試験は年1回、3年連続で短答式試験は合格したんだけど、論文試験は受からなかった。単に肩書きが欲しいという希薄な動機では突破できないようだった。2年目には会社を作って会社経営者という肩書きを手にしたということもあった。こうして4年目には短答式試験にまで落ちて、私の弁理士試験への挑戦は終わった。