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自動車改造論

久々に我が家の車の改造をした。リヤシートの座り心地を改善しようと、あれこれ。

車は設計通りのままが一番良くて、改造すればする程ダメになる、という説がある。エンジニア達が昼夜頑張って最適値を求めて実験して設計されたものを素人が変更しても改悪にしかならない、という訳だ。これは正しい面もあり、また違う面もある。

製品開発にはコストと期限という制約がある。その縛りの元でエンジニア達は最善を尽くしたとは言え、もしその制約が無ければ、もっと良い物が出来たのでは、という部分は必ずあるのだ。

もう一つの問題は、万人向けに設計されている、と言うこと。シート高さもシフトレバーの位置もパーキングブレーキレバーの位置も私の体には合ってなかった。自分の体に合うように車を改造する、というのが改造の目的の一つなのである。

自動車改造業界の餌食になる人々

車の改造と言うと、マフラーを交換して排気音をうるさくし、車高を下げて乗り心地と使い勝手を悪くし、巨大ホイールと極薄タイヤに大枚を叩く事だと思うのが世間一般ではないか、と思っている。そんな改造をする人々は、車を格好良くすることが第一である。つまり、改造している事が人目に分からなければ意味がない。だから、そんな改造が世間一般の目にも付くのだ。

車高を下げれば下げる程、タイヤは薄ければ薄い程格好良いと信じ込まされている人々。そして、自分で改造しないで改造ショップに依頼する場合が大半のようである。しかし、改造費用はそれだけ高くなるのだ。勿論、お金が無いからローンを組んで。

自分で車を改造する参考になるような書籍は無いかと探すけど、車の改造雑誌の大半はオーナーの痴性が現れる欠陥車に改造する例ばかりである。結局、改造雑誌も含めて自動車改造業界というものが存在し、無知な人々に変な思想を吹き込んで変な改造をさせてお金を巻き上げているのだろう。

改造しない改造

自動車保険の項目に、あなたの車は改造していますか、という質問項目がある。この改造というのは、構造等変更検査を受けるような大規模な改造をして車検証に「改」の文字が入った場合のみが該当する。だから、私は改造しているにも関わらず、いいえにチェックする。

公道を走らせる場合は道路車両運送法の保安基準を満たした改造でなくてはならない。簡単に言えば車検に通る改造である。自分で趣味で改造するなら車検記載事項に変更なく、無届けで改造出来る範囲に留めるのが無難である。

その無届けで改造出来る「軽微な変更」の範囲は、自動車部品を装着した時に、車両の寸法と重量の変化が一定範囲(軽自動車の場合は、長さ:3cm、幅:2cm、高さ:4cm、重量:50kg)に納まる場合、又は指定部品を溶接又はリベット以外の方法で装着した場合、となっている。

例えばルーフキャリアなど装着すれば4cm以上高くなるけど、指定部品に含まれているからネジやボルトで留めるならOKである。

そもそも、容易に外せるなら改造にすらならないのだ。例えばシートの表皮を張り替えるとすると、その材質は難燃性の基準を満たしていないと車検に通らないけど、外せるシートカバーなら如何に燃えやすくても全く問題にはならない。

固定するようなものでも、他の車の部品を流用するような場合は保安基準を満たしているはずだから、大抵の場合は合法的に改造出来て、しかも公的には改造していない事になる。

そもそも改造を始めたのは

自分のニーズに合う車があれば、最初からそれを買うのが一番良い。改造にはお金も時間もかかる。それでも新車で車を買って私が車を改造しようと思ったのは、リヤシートにヘッドレストが付いて無かったからだ。追突された時、乗員の首を守るには絶対に欲しい装備だ。

スズキ アルト、そのシリーズの最上級グレードのXにはリヤシートのヘッドレストが付いていたけど、XにはMTの設定が無かった。しかし、私はMTの車を買いたかった。

車のグレードが違っても基本的な部分は同じだ。高いグレードになるにつれ、装備が増えたり複雑になったりするだけだ。だが、装備が最も少ない最低のグレードこそ、最も軽く、最も故障しにくい車である。ある意味、車としてシリーズの中で最も優れているのだ。そう考えていたから、一番安いグレードのEを選び、ヘッドレストを後から付ける事にした。その他の装備はEでも十分満足出来た。エアコンもオーディオも付いていた。

購入時、アルトEのMT仕様は日本の中で最も定価の安い乗用車で、しかも車齢13年以上の車(その当時の愛車アコードは車齢23年だった)を廃車にして購入すれば12万5千円の補助金が貰えた。最も安い車に乗っているというのが私にはある意味自慢なのである。

サービスマニュアルとパーツカタログも同時に購入してどうやって改造するか検討した。リアのバックレストを加工してヘッドレストを取り付けられないか色々考えたが、結局はX用のバックレストを購入して交換。部品代(全部で8万円位)は高かったが、部品交換による改造は実に簡単だった。

しかし、部品の交換や追加などは自動車メーカーの開発陣の想定内の事。コストや販売戦略の為にやらなかったのをユーザーが代わってやったに過ぎない。こんなの改造とは言えない。

後戻り出来ない改造

真の改造とは、車体に手を加え、部品を改変したり新たに作る事だ。全くの手探り、何回やっても失敗の繰り返し、だが、ようやく上手くいった時の充実感は格別だ。それは開発陣の知恵をユーザーが越えた証と言える。

しかし、こんな改造に普通の人は手を出さない。完成までにベラボウな時間がかかる という事もあるだろうが、最大の理由はこんな改造を始めたら、もう後戻り出来ない…つまり元に戻せない事だろう。そんな改造をした車は価値が大幅に下がるから、乗り潰す気が無ければ、そんな改造は出来ない。

助手席の足元の狭さに呆れ、この灰皿が邪魔だと発作的に新車のフロントパネルをノコギリで切ろうとした時、これでもう後戻り出来ないと思うと、さすがに躊躇したものだ。安価なアルトでなくベンツだったら果たして出来たかどうか。

愛車紹介

その改造されたアルトの現在の姿を紹介する。


窓越しにリアシートのヘッドレストが見えるが、黒いドアノブが示す通りこの車はアルトの最低グレードEである。その他に満5年の車検時にホイールをスズキの(わざと)バン用のスチール製13インチに変えてみた。

元が135/80 R12という細いタイヤで走行安定性が良くなかったし、このタイヤサイズは製品が少なかったから、別の指定サイズである155/65 R13のタイヤを履きたかったのだ。外観の変化は、このホイールを変えた事しかない。センターキャップは敢えて付けなかった。フロントハブのサビが目立つので、黒錆化させる薬剤を塗ってから銀色に塗装した。後で耐熱塗料にした方が良かったかもと思ったが、今のところ問題は起きてない。ホイールキャップが無くなって、タイヤの空気を入れやすくなった。

さて、今日の作業はこれ迄に改造した部分の微調整。リアバックレストの下部のスポンジを裏側から指でちぎってもう少し凹ませてみた。


それで取り付けてみて…座って確認。そして、下の写真が苦労して改造したリアシートの全貌である。今回ちぎり取ったスポンジは集めて袋に入れた。


シート座面も、これは前面の真ん中から切れ目を入れてスポンジを切り取ってある。そうすると、座面の傾きが小さくなり、バックレストを倒してラゲッジスペースにした時にフラットに出来るし、あぐらをかいて座るのにも都合が良い。

普通に座る時は、取り外したバックレストの表皮を再利用して作った座布団で腿裏を支える。この座布団の中にはバスタオルが入っていて、チャックを開けて取り出して使う事も出来る。

それから、ノコギリで切り取った灰皿の部分の現在の様子。こうして横から写すとカッコ悪いけど、運転席から見れば問題ないようにした積もりだ。跡地にはETCとか窓拭きタオルとかLEDライトとか取り付けた。そうすると、それらの備品に手を伸ばすのに必要な空間として、最初からそのようにデザインされていたように見えてきた。


まだまだ自慢したい改造があるのだが、今回はこの辺で。