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日経新聞は悪文の宝庫

日経新聞を読んでいると、時々引っかかる表現に出くわす。今日はテニスの錦織選手がブリスベン国際大会で決勝進出を決めた記事の中の一文。
決勝で第1シードのラオニッチを破ったディミトロフを迎え撃つ。
これは、文法的には ディミトロフは決勝で第1シードのラオニッチを破った としか解釈出来ないが、決勝はこれからだから、事実はそうでは無いはずである。つまり、言いたかったのは、
  • 決勝でディミトロフを迎え撃つ。
  • ディミトロフは第1シードのラオニッチを破った。
という事だと読者が余分に考えなければ分からない。こういうのは悪文というよりも間違いの文である。では、正しい文に直していこう。やり方は幾つもある。句点を入れる、助詞を入れる、語順を変える、括弧書きにする。
  • 決勝で、第1シードのラオニッチを破ったディミトロフを迎え撃つ。
  • 決勝では第1シードのラオニッチを破ったディミトロフを迎え撃つ。
  • 第1シードのラオニッチを破ったディミトロフを決勝で迎え撃つ。
  • 決勝で(第1シードのラオニッチを破った)ディミトロフを迎え撃つ。

正確な文章を書かせる教育

日経新聞の記者達には、朝日新聞の記者だった 本多勝一氏 の書いた 「日本語の作文技術」 を読んで実践して貰いたい。

文の要素がどう結びつくのかは四則演算の法則の如く優先順位がある。読者はその規則に従って文を解釈する。日経新聞には、こんな基本的な事を知らない記者と校正係がいるらしい。お陰で、日経新聞を読む楽しみが増えるのである。

ところで、「日本語の作文技術」は良い本だと思うが、そもそも国語の教育で文の要素の結びつき方についての文法的な説明をしていれば、わざわざ特定の本を推薦する必要も無かった。

英語の早期教育に熱を上げるよりも、国語の教育で役に立つ日本語の文法規則を教え、正確な文章を書かせるようにして欲しい。

文法は情報工学の分野

正しい文に直す方法では 語順を変えるやり方が最も優れていると思う。書いてある順番通りに意味解釈をする事が出来るからだ。その他の方法では、「決勝で」という情報を一旦横に置いて後で利用する事を句点や助詞や括弧で示すから、意味解釈に余分な負担を強いる。

その一旦横に置くという行為は、コンピュータに詳しければ、「ああスタックに積むのと一緒だな」と理解できる。

そう言えば、妻は問題の文は主語が書かれていないから不正確と言っていたが、この文より前に錦織選手に関する話題である事が示されているからそれで事足りる。

西欧語の主語とは異なり、日本語には文中に主語は必須では無いのだ。必要なのは、文章の話題を示す言葉 主題語であり、しかも一度示されれば、その後別の主題語に入れ替えるまで有効なので 後の文中で毎回示す必要はない。

この主題語に用いられる助詞「は」について、「象は鼻が長い」で有名な文法学者 三上章 は 「は」は文を越える と表現しているけど、これもコンピュータで言えば グローバル変数だなと理解できる。

つまり、文法も情報を司る規則であり、コンピュータと同じく情報工学で扱える分野の一つと言えるのである。私は情報工学の観点から日本語の文法を分析して見たいと思っている。