このブログを検索

2017年3月12日日曜日

子供達も就社活動

息子は大学院修士1年生、娘は大学3年生、ともに卒業後は就職する積りなので、この春は いわゆる 就活 に忙しい。この就活は就職活動の略らしいけど、就社活動の方が日本の実情に相応しいだろう。

日本の会社は新卒の学生を職では取らないのが一般的だ。だから、新人研修の後で配属先が決まるまで自分がどんな仕事をするのか決まってないし、その仕事もずっと同じとは限らない。

しかし、この就社という形式は、やりたい事がしっかりと決まっていない学生にとっては好都合だ。若者は、世の中にどんな仕事があるのかも良く知らないし、そもそも自分がどんな仕事に向いているのかさえも分かっていないくて当たり前。

世界基準の就職活動なら、職は固定で即戦力となる人物が採用される。百戦錬磨のベテラン転職組と新卒学生が同じ土俵で戦う事になるので、職歴のない学生はインターンシップというタダ働きで経験を買うしか手がない。

就社は欧米ではエリート大学生のみ

ところが、欧米でも世界トップクラスの大学を卒業すれば、その能力を期待されて経験が無くとも「就社」出来るらしい。その特権が日本では(少なくとも形式的には)全ての新卒学生に開かれているのだ。この事を知っているだけでも 就活 出来て有り難いのだと前向きな気持になれると思う。

同期入社の仲間

就社で大事なのはどういう会社に入るかである。可能性のみがあって何の経験も無い学生が入るのに相応しいのは育ててくれる会社だろう。そうすると、長い目で見てくれるような会社の方が即戦力を期待している会社よりも良さそうだ。そして、急成長の会社よりも安定成長の会社。人材を育てつつ安定して成長するのに 新入社員は多くても社員総数の1割以下にしないと無理があると思う。
もし、社員の年齢構成に偏り無く、定年まで退職しないで40年勤めるとして、社員数が一定であり続けるなら、新入社員は社員数の2.5%になる。毎年、新入社員が社員数の10%で退職者が2.5%なら社員数は10年で約2倍になる。
因みに、就職人気一番の企業、三菱商事がどうなっているかネットで調べたら、ここ数年は社員数は6千名弱で新入社員の採用数は2百名弱だから、率は約3.3%だった。
どういう指導があるか、どういう仕事を与えられるか、という事については上司や経営トップの資質に関わるが、それに負けない位に同期入社の仲間の存在も重要だ。そうすると、採用数が少なく過ぎるのも困るし、優秀な仲間を採用して欲しい。

会社の命運は経営トップで決まる

東芝やシャープの事例でも明らかだけど、過去どんなに素晴らしい会社であっても経営トップが駄目なら会社は駄目になる。その一方で、うまくいってる会社の多くはカリスマ的リーダーが長期的視野で会社を経営している。そして、そのリーダーがオーナー経営者(株を多数持っている)なら、長期に渡って経営者であり続ける事が予想出来る。

そう言えば、私がかつて勤めていた会社は米国の親会社の日本法人だったが、その親会社はカリスマ的創業者が長年経営していた。しかし、その経営者が引退した後はボンクラの経営者が引き継いだ。ボンクラの経営者は成長(Growth)と利益(Profit)の2語しか発しなかった。

その経営は最初の内は順調だったが、その勢いで成長を続けたら全世界の人間がこの会社の社員になってもまだ不十分になってしまうな、と私は思っていた。やがて不景気になると会社はリストラの嵐となって私も対象となり、その御蔭で私は自由人になれたのだが。

同じ仕組みを単に増やすだけならボンクラ経営者でも出来、それで ある程度は成長する。そして売り上げや利益が大きくなった分だけ経営者自身の報酬も増やせる。しかし、質の向上無しの量的拡大はやがて行き詰まる。それが分かっている賢明な経営者は決して無闇な量の拡大はしないし、不景気でも社員を大切にする。

そんな事を考えて見ると、就社するのに理想的なのは、優秀な人材を採っている、ある程度大きく(新入社員を数名から数十名とれる位?)、同族経営で、質の向上に地道な努力を続けている会社だろうか。しかし、その為には、自分がその優秀な人材になる必要があるのだった。

職は自分で作る

就社なら、どういう仕事をするのかは(希望を聞かれる事はあるけど)会社が決める。娘は食品関係の職に着きたい希望があるけど、食品業界に就社しても経理や人事など 食品とは無縁の仕事もあるし、逆に、機械メーカーに就社しても寿司ロボットの開発とか食品と関わる仕事になるかも知れない。

だから、業界に拘るよりは、自分を育ててくれる良い会社と縁があればそこに入社しても良いのではないか。色々仕事して社会経験を積み、自分がやりたい職を見つけたら、その時点で転「職」するなり起業すれば良いだろう。

だから、就社するのには業界に囚われず、社員を大切にし、顧客も取引先も大切にし、社会に貢献する会社を探せば良いのでは無いかと思う。