資本金は、会社の創業時の額にその後の増資、減資を経て現在の額になっている。創業時に小さく産まれても、その後に事業利益で着々と成長を続けていれば資本金の額を変更する必要なくそのままでやっていける。
そこで大事なのは会社の純資産の額で、総資産額ー負債額 になる。その純資産は株主資本(持分会社に於いては 社員資本)とも呼ばれ、資本金とそれ以外の部分(資本剰余金、利益剰余金 等)で構成される。
つまり、資本金が小さくても純資産が大きければ財務体質が強い会社である。
名より実を取る
事業利益が積み重なり純資産が増えれば、通常は資本金以外の部分が増える。確かに、資本金が大きいと見栄えは良い。しかし、資本金を増やす事は「増資」と呼び、手続きが面倒だし登記に必要な費用(登録免許税)も発生する。
それに、何より資本金が増えると税金も増える。従って名より実を取って、優良企業な中小企業でも資本金は小さいままの事も多い。
- 8,585,999円の壁 (合同会社の資本金がこれを越えると、設立時の登録免許税が高くなる。株式会社の場合は21,442,999円までは同じ。)
- 9,999,999円の壁 (資本金がこれを越えると、設立当初から消費税の課税事業者にされる。)
- 1千万円の壁 (資本金がこれを越えると、法人住民税が高くなる。)
- 1億円の壁 (資本金がこれを越えると、法人税が高くなる。)
- 5億円の壁 (資本金がこれを越えると、公認会計士の監査を受ける必要がある。)
コラム: 登録免許税の額は、資本金から計算される額と最低額のどちらか高い方で、最低額は合同会社が6万円、株式会社が15万円。一方、資本金の0.7%が計算される額、但し資本金の1,000円未満は切り捨てて計算して税額の100円未満の端数も切り捨て。
増資する理由
増資には2種類ある。一つは有償増資で、これは外部から資金を調達する。もう一つは無償増資で、これは、利益剰余金などを資本金に振り替えるから純資産の額は変わらない。
有償増資には、事業拡大の為に資金を増やす場合と 倒産の危機に瀕した会社が取引先の会社とか銀行に出資してもらう場合がある。
無償増資は、資金的なメリットは無いのに税金が増えたりするが、資本金の額が増える事で体面は良くなるし、出資してもらう手間も不要。
自家用法人の資本金
資本金は1円以上任意の額が可能とは言え、一般的には百万円単位にするのが無難と思い、我が自家用法人の資本金は自分が百万円、妻も百万円 出資して合計2百万円にした。
実際に、会社が出す色々な書類には資本金の欄があって、単位が百万円になっている事も多い。もし資本金が1円の会社だったら、0.000001百万円 とでも書くのだろうか? とは言え、実際に会社を運営してみて、資本金の額は低い方が会計の自由度が高いと思った。
我が社は、毎年の法人所得額をゼロにするよう決算している。その関係で、年度末の預貯金の額は「資本金ー創立以来に支払った法人税等の累計額」以上に保つのが都合いい。その額は昨年末で 1,21,2400円になる。もし、資本金の額が数万円以下だったら、初年度から預貯金の額は社会保険料の引き落としで赤にならないよう注意しておくだけで済んだ。
だから、今の私なら資本金の額は百万円単位とせず、もっと低額の面白い数字にしてみたい。お気に入りの言葉の語呂合わせ(早まって 4,649円とかにしたら後で恥ずかしいけど)とか、数学上の特別な値とか。
会社の創立年に合わせるのも面白いし実用的だ。我が社なら 2,006円 か。