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2017年9月6日水曜日

厚生年金のリターンについて

法人から給与所得を得ると加入する必要がある厚生年金のリターンについての新解釈。

勤め人なら給与が上がれば嬉しくて、それに伴って社会保険料が上がっても仕方がないと思うだけだろうが、自分に出す給与の額を自由に決められる自家用法人に於いては、その社会保険料の会社負担分も意識するし、その負担に見合ったリターンなのかは気になる。

厚生年金と健康保険の保険料内訳は無意味

厚生年金と健康保険は必ずセットで加入する。掛け金は標準報酬月額(と標準賞与額)で自動的に決まって自分で選ぶ事は出来ない。そうすると、厚生年金の保険料は幾ら、健康保険の保険料は幾ら、と言う内訳は加入者にとっては無意味だと言える。

確かに、社会保険に加入して得られるメリットには価値を感じる。しかし、メリットの多くは社会保険料の多寡に関係せず、保険料に比例して得られるリターンは厚生年金の報酬比例部分のみである。

そうすると、会社負担分や健康保険の保険料と称している部分も含めて保険料に対する報酬比例部分のリターンを計算するのが正しいリターンの求め方だと思った。

詳しくは[社会保険について]と言うページに纏めてみたが、65歳から90歳まで年金を受取ったと仮定して掛け金の45.5%しか戻って来ない計算になる。掛け金と同じ額を受け取るには120歳まで長生きする必要がある。

税金を保険料と呼ぶな

勿論、この掛け金で健康保険や(配偶者の分まで含めた)国民年金の部分もカバーしているのだから、それを含めた形でリターンを示す事も間違いではない。しかし、最低限の保険料と実際に支払う保険料の差額が報酬比例部分にしか現れないのだから、その部分のリターンを示す事もまた正しい、と思う。

そして、報酬額が増加して厚生年金の等級が最高に到達した以降は、報酬比例部分はもう増えないのに対して健康保険の保険料はまだ上がるのだが、その見返りは何もない。

保険料と言うなら、それに見合う保障を提供しなくてはおかしい。だから、保険料と言うよりは税金である。厚生年金の保険料も掛け金の半分以下しか戻らないのなら、その保険料の半分は税金と言える。税金を取るのが悪いわけではない。保険料と偽るのが悪いのだ。会社負担分の保険料も含めて名称を変更しよう。給与税と。