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2016年2月28日日曜日

娘のスマホを修理する

娘のスマホが1月初めに壊れた。起動を繰り返すという症状だ。代わりにSIMカードが入るタブレット ZenPad 7.0 (Z370KL) をアマゾンで買って届け先を娘にして、しばらく貸してあげる事にした。

後日、娘が我が家に立ち寄った際に問題のスマホを受け取った。電話では良く分からなかったけど、電源スイッチがオンになったまま、が原因だろうと一目見てすぐに見当がついた。

しかし、たかがスイッチの故障だけど、もし修理となると基板の交換3万円也となって、それなら新しいスマホを買うかって話になるはず。尤も、以前に液晶と充電池の交換を自分でしているから、修理は断られるはずだし。修理出来ないなら、このスマホは捨てるしか無い。それなら、ダメ元で自分で修理してみよう。

今回の投稿はこの修理記録である。もし同じ症状の人が自分で修理する時の為になるべく詳細に書こうと思う。スマホはGoogle Nexus5で、Nexus5の分解に必要な工具は以前の修理で買って持っていた。

さて、分解して、問題のスイッチが表面実装の小さな部品である事が分かった。もしこれと同じスイッチが入手出来ればこれを交換するだけで修理完了なのだが、ネットで調べるものの見つからなかった。壊れたNexus5を手に入れて部品取りでもする他ない。

部品を手に入れるあてのないまま電源スイッチを外す。ハンダゴテで温めるだけで外せると思ったけど、コテの熱容量不足なのか外れない。結局、ニッパーを使って無理やりにはぎ取ったが、幸い基盤パターンは一部GNDらしい部分が剥がれただけでまだ何とかなりそうだ。

この状態で組み立ててUSBで給電すると、「起動を繰り返す」から「充電中」に変化した。やはり、「電源スイッチがオンになったまま」が故障の原因だった。

再度分解して、今度は電源スイッチの跡地からリード線を引き出す。


電線の芯線を取り出し極小のパッドにハンダ付け。その部分をエポキシ接着剤で覆って他の部分と電気的に接触しないように保護した。ハンダ付けは安全と排気の都合でキッチン台の上で。

スイッチの横にある金メッキの部分はシールドカバーと接触するようになっているので、接着剤がその部分に はみ出たら、固まってからカッターナイフ等で取り除いておく。

さて、この2本のリード線をスマホの外に引き出せるように組み立て、2本のリード線を接触させると見事にスマホが起動した。

しかし、それでは使い難い。ネットで調べてみると、電源スイッチの代わりに音量ボタンでスリープ解除ができるアプリがあるらしい。更にそのアプリで通知領域を使ってスリープに出来る。そうすると、何らかの方法で一度電源を入れれば、その後は電源スイッチは無くても使えそうだ。

その為に、スマホの側面に付いていた電源ボタンの位置に2つの電極を固定し、それをコインや鍵などの金属でショートさせることで電源を入れるようにしよう。その後は電源をずっと切らないようにして使用する。

その電極をどうやって作り、固定しようか。良いアイデアが浮かばないまま、何かヒントを得ようと電子パーツ屋さんに行ってみたら、端子のパターンが並んでいる薄いガラスエポキシの基板を見つけた。


薄いからスマホの側面に貼り付けても出っ張らず、上手く使えそうだ。これにホチキスの針をハンダ付けしてスマホ内部に引き込み例のリード線を絡み付ける事にした。ホチキス針は断面が四角なのでリード線を絡めた時に丸い棒よりも接触が良さそうだ。

スマホ側面への貼り付けにエポキシ接着剤を使っても上手く着かなかったけど、瞬間接着剤なら大丈夫だった。内側でホチキス針は上(裏蓋)の方に曲げておいて、スマホ基板を取り付けてからリード線を絡ませ、余った部分をニッパーで切る。ハンダが盛ってある電極部分をヤスリで削って薄くする。


そして、これが完成した様子。この端子をコインでショートさせると見事に起動した。ところが、例の音量ボタンでスリープを解除するアプリ(Volume UnLock)の消費電力がバカにならない。


調べてみると、WiFiに次ぐ大喰らいである。何とかならないものか、と考えながら風呂に入っていて閃いた。そうだ、スマホカバーを使って電源スイッチを作ろう。


薄いガラスエポキシの基板の金メッキ端子の部分を切り抜いて、スマホカバーの電源ボタンの位置の内側に両面テープで貼り付ける。そうすると、スマホカバーの電源ボタンの位置を指で押せばスマホ側面の2つの端子が金メッキ端子でショートし、指を離せばスマホカバーの弾力で金メッキ端子が2つの端子から離れる。これで立派に電源スイッチとして働く。

要らぬアプリ(Volume UnLock)はアンインストール。娘が何日か使っているが、今のところ故障する前と同じように使えている。取り敢えず直ったことにしておこう。そして、娘に貸していたタブレットを返して貰ったので、これからお出かけにはこのタブレットを持ち歩こうと思う。
後日談: 修理から半年以上経った。その間、娘がスマホを再度落として画面中央にガラスのヒビが一本増えたが、まだ動いている。(前回は端からクモの巣状にヒビが入りLCDを交換せざるを得なかったが、これは交換しなくても使えそう、と言うか、スイッチの修理をしたからLCD交換はもう無理)  後一年位は動いて欲しいが、取り敢えず修理は成功したと言えよう。
ある日、突然アクセスが増えて、調べたら2chでこの投稿が取り上げられていて、修理に挑戦する人がいることを知った。褒めて貰えて嬉しいが、他の人が修理に成功すれば もっと嬉しい。そう思って少し情報を足した。あと、基板と書くべきところが基盤となっていたのをこっそり訂正した。
2017年5月14日記す: 最近、娘のスマホはHuawei nova liteに買い換えられた。 修理自体はまだ有効だったが、電池の持ちに問題が出てきたため。しかし、修理した事で買い替え時期を1年以上先延ばし出来たので、安くて良い製品が買えて修理した甲斐があったと思う。Nexus5は良い製品だったと娘は言っていたが、nova liteに換えて電池の持ちがとても良く、その他は同じように使えていて、3年間の技術の進歩を感じる。