大回り乗車とは、JRの運賃計算の特例を利用して、目的駅までわざわざ遠回りの経路で旅をする事である。但し、大回り乗車が出来るのは(東京・仙台・新潟・大阪・福岡)の各近郊区間内に限られる。
乗車ルール
時刻表を見れば、各近郊区間の範囲が書いてある。
- その近郊区間内のみを経由し、
- 乗車経路を重複せず、
- 2度同じ駅を通らず、
利用する場合は、実際の乗車経路にかかわらず、最も安くなる経路を使って運賃を計算する。途中下車は出来ない。営業キロ数にかかわらず、乗車券の有効期間は1日。
結局、近郊区間の路線図を見て頭の中で一筆書きして楽しむ遊びなのだ。最長ルートを考えるのも良いが、ローカル線を含むと本数が少ないので1日で回れるのか電車の接続を考える必要もある。
今回のルートも1日9本しか走ってない路線を含んでいたが、良い接続を見つけたので乗ってみたくなったのだ。接続が乱れたら、次は約2時間後なのでちょっとしたスリルも味わえる。
非日常の体験
時刻表の上だけでも楽しめるが、実際に乗ってみて分かることも多い。駅の外には出られないが車窓も楽しめるし、どんな人が利用しているのか観察するのも面白い。
ディーゼルカーに乗れると思っていたら既に電化していた。残す路線には少し投資して経費を削減する方針だと思った。写真の電車は2両編成だがガラ空き、その先で接続した電車は1両編成で通学の高校生、小学生で満員だった。車両の編成を間違えてない?
どちらもワンマンカーで、無人駅では運転席近くの扉のみでしか降車出来ないルールだ。ワンマンカーだから1両編成で仕方がない、というなら理屈が通るが、だったら2両編成のワンマンカーは何?と思った。
それから、今回乗った電車全てにトイレが付いていたのも意外だった。ローカル線なのに? いやローカル線だからこそトイレが必要なのだろう。
松本も東京近郊の怪
大都市近郊区間の特例で利用者が楽しめる一方で、問題点もある。一つはJR側の理由で下車することになってもそこ迄の(最短経路での)運賃を払う必要があること。乗車駅から最も遠い駅で不通になって降ろされたら悲惨である。
そして、近郊区間の図を眺めていて気付いたのだが、東京近郊区間が異様に広い事。なんと信州の松本駅までが東京近郊になっている。(2014年4月からそうなったらしい)
そうすると、東京から松本までの乗車券を買うと途中下車不可の有効期間1日のものになる。もし、松本が東京近郊区間に含まれて無ければ、東京からの距離が200kmを超えるから有効期間が3日の乗車券で、東京23区内の駅を過ぎれば途中下車はし放題なのに。(次の駅である北松本駅までの乗車券にすれば東京近郊区間から外れるので、途中下車が可能になるが…)
大阪近郊区間は西は播州赤穂、東は米原、北は近江塩津、南は和歌山まで。JR西はそこまで(北は近江塩津を越えて敦賀まで)新快速や紀州路快速を毎時4本走らせているから、近郊区間に含まれていても違和感無し。
松本が東京近郊区間と言うなら、JR東も松本行きの快速電車を(毎時4本)走らせてみろと思うのだった。