英語の母音の数は多い。通常の言語では長母音、短母音と音の長さで区别するものでも、英語では音質の違いで区别していて音の長さでは区别されない。例えば、mitt と meet の母音の違い。日本語話者には「ミット」、「ミート」と音の長さの違いしか感じないけど、実際には短い「イ」の音は日本語の「イ」と「エ」の中間位の音だという。
そんな知識は発音する時に役立つけど、日本語話者にとっては音を聞いて記憶する時は「イ」と「イー」としか区别の仕様がない。と言うよりもそういう区别の手段があるからこそ、5種類の区别しかなくとも英語の異なる母音を異なるように記憶できると言えよう。もし、英語話者のように長短の区别が出来ないのに、区别出来る母音の数が少ないならお手上げである。
母音とは何か。私の理解だと、(1)顎の開き「挟、開」、(2)舌の盛り上がる位置「前、後」、(3)唇「非円、円」の形の3つの要素だけで決まる有声音。有声音とは声帯を振動させること。
これを説明するのに、よく逆三角形を描いてそこに母音を書き入れる。下の方が顎が開き、左の方が舌が前にくる。日本語の場合を図にするとこんな具合。
所で、前に英語の母音の発音は「開音節」か「閉音節」かで大いに異なると書いたけど、そのペアって全部で6種類ある…って言うのは私の意見。こんな事、今迄誰も言ってないけど。
でも、ローマ字の母音字は5種類しかないから、英語では、6種類の母音を書き分けるには字を組み合わせるしか方法が無いわけで、oo という組み合わせを作った。この6種類の母音を先程の図に重ねると、こんな具合。但し、これは閉音節のもの。
一方、o の方はアメリカ発音では甲高い「あ」[ɑ]の音に聞こえ、イギリス発音では甲高い「お」[ɒ]の音に聞こえる。違いは唇の形だけである。アメリカ発音が非円唇で、イギリス発音が円唇である。
それから問題は、この6種類の発音を日本語でどう代用するかだが、カタカナ英語の多くは a と u に「ア」、i に「イ」、oo に「ウ」、e に「エ」、o に「オ」を割り当てていた。
それでは a と u の区别が出来なくて困るから、a には「エヤ」を割当てて見たい。「え」の音と「あ」の音を含み、かつ air エア[eɚ]と区别出来るように。u の音は口は「お」の位置にあるけど非円唇だから「あ」の音に聞こえるので、今迄通りで良いと思う。
では、これに対する開音節の発音はどうなるのか。実は、開音節の発音は英語のABCの読み方でお馴染み。
- a 閉…エヤ[æ] 、開…エイ[eɪ]
- i 閉…イ[ɪ] 、開…アイ[aɪ]
- u 閉…ア[ʌ] 、開…ユー[juː]、[uː]
- e 閉…エ[e] 、開…イー[iː]
- o 閉…オ[ɒ] 、開…オウ[oʊ]
- oo 閉…ウ[ʊ]
さて、ではこの oo の開音節はどういう発音になるのか。
6種類の母音を舌が前のグループ(a e i)と舌が後ろのグループ(o u oo)に分けてみる。そして、u の開音節の発音は「ユー」ではなく「ウー」だとする。実際、sue の発音等はそうなってる。更に、「イー」は「イイ」、「ウー」は「ウウ」だと考える。そうすると、全ての発音が規則的に見える。
しかし、困ったことに、この理論で説明が付かない発音が一つあるのだ。oi オイ[ɔɪ]である。後舌音で始まって、前舌音で終わる。グループを跨いで発音しないはずなのに。
しかし、調べてみると、これは仏語からやって来た綴りだった。但し、仏語では「オイ」とは読まずに「ワ」みたいな発音だけど。
古来(ノルマン征服以前)の英語の言葉でこの発音をするものは私の知る限り存在しない。更に、この oi という発音の元を辿ればラテン語の e に至る。こんな事を知っていると語学の勉強が楽しくなってくる。
6種類の母音を舌が前のグループ(a e i)と舌が後ろのグループ(o u oo)に分けてみる。そして、u の開音節の発音は「ユー」ではなく「ウー」だとする。実際、sue の発音等はそうなってる。更に、「イー」は「イイ」、「ウー」は「ウウ」だと考える。そうすると、全ての発音が規則的に見える。
- 前舌グループは最後が「イ」で終わり、後舌グループは最後が「ウ」で終わる。
- 出だしの音は各グループの隣の音である。(あ→え→い→あ)、(あ→お→う→あ)
しかし、困ったことに、この理論で説明が付かない発音が一つあるのだ。oi オイ[ɔɪ]である。後舌音で始まって、前舌音で終わる。グループを跨いで発音しないはずなのに。
しかし、調べてみると、これは仏語からやって来た綴りだった。但し、仏語では「オイ」とは読まずに「ワ」みたいな発音だけど。
古来(ノルマン征服以前)の英語の言葉でこの発音をするものは私の知る限り存在しない。更に、この oi という発音の元を辿ればラテン語の e に至る。こんな事を知っていると語学の勉強が楽しくなってくる。