学校の英語教育の不思議の一つは、英語の綴りの読み方を教えない事だと思う。
英語を除き、私が習った西洋語は何れも最初に"ABC"の読み方を学び(これが発音を覚える基礎)、次に綴りの読み方を学んだ。
韓国語でもハングル文字の読み方を最初に学び、次に綴りの読み方を学んだ。
中国語は漢字だからそうは行かないけど、最初にピンインの読み方を学んだ。ピンインとは、漢字の読み方をアルファベットで表す方法で、ü という文字と4種類の声調記号を除き全てアルファベットで表現出来る。言わば、アルファベットで表す発音記号である。
英語でも最初は"ABC"の読み方を学ぶ。しかし、中学校の英語の授業では綴りの読み方は習わない。その当時は、英語の綴りはローマ字の読み方とは全く異なるから、単語一つ一つの読み方を覚えるしかない、と思い込まされていた。
確かに、初級英語では綴りは例外だらけである。よく使う単語であれば発音は短く、そして他の単語と同じにならないよう原則から外れるような変化があっても不思議ではない。しかし、国民全部に高校卒業レベルの英語の履修を期待するならば、綴りの読み方の原則をまず最初に教える方が理にかなっている。
最初に少しの労力で綴りの読み方の原則を覚えれば、膨大な量の単語を覚える際に必要な労力は確実に減るものと思われる。原則から外れる読みについても外れるに至ったその単語の歴史があるはずで、その事情を知ればその単語をより強力に記憶に留めることが出来るに違いない、と思っている。
所で困ったことに、英語の原音とはかけ離れたカタカナ英語が世の中に氾濫していて、これが英語の学習の大きな妨げになっている。それは、カタカナ英語を作り出している知識人やマスコミ関係者が生半可に英語の綴りの読み方を知っていると勘違いして原音を確かめないのが原因ではないか、と想像する。
残念ながら、英語の綴りには音節の区切り方やアクセントの位置までは書かれていない。一応、綴りから音節の区切りとアクセント位置を決める法則もあるけど、これは例外が多いからちゃんと辞書で確認しないと判らない。しかし、逆に言えば、「英語の綴り」+「音節の区切り」+「アクセントのある音節」が分かれば、英語の綴りの読み方の原則によって高い確率で原音通りの読みが再現できるはずである。
これは、英語の母音の発音が「開音節」か「閉音節」かで大いに異なり、またアクセントの有無でも大いに異なるためである。因みに、「開音節」とは母音が剥き出しのままで終わっているもの、「閉音節」とは音節中の母音がその後に続く子音で守られているもの、である。母音の間にある子音が前の母音の音節に属するのか、或いは後ろの母音の音節に属するのかで読みは全く異なる。まあ、一応のルールはあるんだけど。
ホント、こんな基本中の基本を学校では全く教えてくれなかったよ。