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英語母音を変化させる R の法則

英語の母音のうんちく話の続き。

英語の母音は6種類で、それが閉音節と開音節のそれぞれの読み方を持つから12種類、それに oi が加わって13種類の発音、此処までは説明した。

しかし、それだけではない。母音の後ろに特定の子音が付くと発音が変化する。これを勝手に「英語母音を変化させる R の法則」と名付けてみた。r が付けば殆どの場合発音が変化するし、その他の子音が付いて変化する場合でもその発音は R の法則で説明する範囲に納まっているからである。

で、閉音節と開音節のそれぞれに r を付けた場合の発音とそれに対応するカナでの読み方について説明してみる。
  1. ar 閉…アー[ɑː] 、are 開…エア[eə]
  2. ir 閉…エー[əː] 、ire 開…アイア[aɪə]
  3. ur 閉…エー[əː] 、ure 開…ウア[ʊə]
  4. er 閉…エー[əː] 、ere 開…イア[ɪə]
  5. or 閉…オー[ɔː] 、ore 開…オア[ɔə]
  6. oor 閉…オー[ɔː]、our 開…アウア[aʊə]
結果全体を見渡すと、閉音節に r を付けた場合には長音(語尾に音引き記号が付く)へと変化し、開音節に r を付けた場合には語尾に曖昧母音のア[ə]が加わっている。

母音の読みは r が付く前と比べて三重母音の「アイア」と「アウア」を除き変化している。しかし、三重母音は後ろに曖昧母音の[ə]が付いただけである。このため三重母音は英語の母音の種別のカウントから外す説もある。しかし、どんな母音にでも[ə]が付けられる訳では無いから、三重母音も含めてこれが英語の母音の全てです、って言い切った方が分かりやすいはずだ。

所で、閉音節には r を、開音節には re を付けているのには訳がある。開音節とは後ろに子音が来ない音節のはずである。しかし、英語には語末に読まない e を付けるとその前の母音字は開音節の発音で読むというルールがある。

何でそうなのか、と解説している文は今迄見た事は無いけど、私の勝手な解釈はこうである。

まず、母音に挟まれた子音は後ろの音節に属するのが音節切り分けの原則である。そうすると、語尾に e が付いた場合は、例えそれが読まない字であっても母音の字だから、{母音で終わる音節}+{子音と e の音節}、に分解できる。しかし、e は読まないから最後の子音が単独で音節になることが出来ずに前の音節に引っ付く。これで、{開音節の発音+子音}の完成である。

語末の読まない e というのは仏語のルールを取り入れたものだろう。尤も、仏語の場合は語尾だけでなく、単語の途中でも音節の最後の e は読まないけど。その e を読まなければ母音が無くなってしまう場合(be、he、she、we、me、the、等)や外来語を除き、例外は無いはずである。

ou の場合に our としたのは、そもそも oure という綴りの単語が無い。それは、母音字を組み合わせた場合は開音節の扱いになるから最後に e を付ける意味がそもそも無いからであろう。

それから、oi に r を付けた場合にはどうなるのか調べたけど、oir も oire も発音が「ワア」の単語が殆どで、これはほぼ仏語読みで英語でも外来語扱いになっている。

oor の読みについて

「ウア」ではないのか? という疑問を持たれるかも知れない。しかし、例えば poor の発音から言うと、「オー」と「ウア」と両方ある。今迄説明してなかったけど、そもそも、oo の読み方は短母音の「ウ」だけでなく、長母音の「ウー」と言うのも存在する。これは u の開音節の読み方と同じである。そちらに r が付いたとすれば「ウア」になるのも当然だ。

それに、oor に r が付く前の読みは一体どっちなんだと聞かれても分かりっこないんだから、短母音だったら「オー」で長母音だったら「ウア」という事にしておけば語尾に r が付いた時の母音の変化がとても規則的になって都合がいい訳だ。

ir、ur、er の読みのカナについて

従来、girl 「ガール」、burn 「バーン」、term 「ターム」のようにカナには「アー」を当てていた。しかし、それでは car 「カー」の「アー」と区别する事が出来ない。そこで、「エー」を割り当てて見た。

従来、「エー」は「エイ」と書かれるべき発音に使われていた(例えば、ace は「エース」って発音してるけど「エイス」の方が原音に近い。)けど、それを止めれば「エー」は[əː]という発音を表すことに使えるのだ。実際の発音は「アー」や「オー」や「エー」が入り混じったような音だから、「ゲール」、「ベーン」、「テーム」でも私は違和感を感じない。

話は脱線するけど、「オウ」と書くべき発音もしばしば「オー」と書かれている。これは1991年6月28日の内閣告示第2号 外来語の表記 に書かれている、{長音は、原則として長音符号「ー」を用いて書く。} という指針があるためじゃあないのか、と思っている。「エイ」も「オウ」も複合母音であって長音じゃあないけど、例として「ゲーム」とか「オーバーコート」とか書かれているからね。

まとめ

英語の母音が6種類あるという説に基づき、英語の発音を解説してきた。今迄に登場したのはアクセントのある音節の場合で、この他にアクセントのない音節に於ける母音の発音もあるけど、それは又の機会に。

それで、6種類にそれぞれ閉音節と開音節の読みがあり、更に語尾の子音で変化し、その他に oi という変わり種がある。計算したら、6*2*2+1=25通りの発音だけど、{ ir と ur と er }及び{ or と oor }が同じ発音だから3つ引いて全部で22通りの発音があり、それら全てが区别出来るように異なるカナの発音を割り当ててみた。

その割り当て方と従来の表記法の違いは以下のようになっている。
  • [æ]は、従来「ア」と書いていたものを、「エヤ」と書くようにする。
  • [əː]は、従来「アー」と書いていたものを、「エー」と書くようにする。
  • [eɪ]は、従来「エー」と書いていたものを、「エイ」と書くようにする。
  • [oʊ]は、従来「オー」と書いていたものを、「オウ」と書くようにする。
これだけの違いで異なる英語母音には異なるカナの組み合わせを割当てる事が出来て、カタカナでの英語発音の記憶からでも正しい母音の発音を再現出来るようになるはずである。