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2015年9月3日木曜日

英語子音のカナ表記 ら行はLに譲る

以前書いたように、全ての英語母音のカナ表記が「ア、イ、ウ、エ、オ」で始まる字の範疇に納まったから、英語子音のカナ表記はそれぞれの子音のみの場合と母音と結合した場合の6種類を示せばよい。

子音のみの表記

子音のみの場合は「ウ」の段の字を当てる。しかし、「ウ」の段にその音価のない場合にどうするか。小さい「ウ」を付けて無理やり「ウ」の段にする方法と「ウ」の段にはこだわらない方法があると思う。

慣例では子音のカナ表記を「ウ」の段とするかどうかは単語によってマチマチであった。例えば語尾の[ʃ]( sh 音)を表すのに、English は「イングリッシュ」だし、sash は「サッシ」(こぶり式に母音を書くと「セヤシ」になるけど)である。そこで、私はこだわらない方法を採りたい。子音を表すのに母音を加えるのは不自然だし、字数が増えるのも嫌だから。

しかし、その結果、語尾が「イ」の段で終わるとすると、そこに母音があるのか無いのか分からなくなってしまうので、母音「イ」がある場合(子音で終わるケースよりもずっと少ない)には特別に小さい「イ」を加える。例えば mushy は「マッシィ」と書く。

子音のカナ表記が「ウ」の段にならないのは、「シ」、「ジ」、「ト」、「ド」、「チ」、「ヂ」、それと、「ン」だけである。「ハ」行音は「フ」では表せないけど、英語には「ハ」行音の子音だけの発音は存在しない(米式発音では wh で存在するけど)から問題なし。

「ン」について

英語では[n]と[ŋ]の発音には n の文字を宛て、「カ」、「ガ」行音の前では[ŋ]を発音し、それ以外は[n]を発音する。[m]の発音には m の文字を宛てる。

これら語中における英語子音の[m]と[n]と[ŋ]を「ン」の文字で表すことにする。日本語の「ン」がこれら3種類の発音を含むからである。

[n]の発音に「ヌ」を割当てるのは不自然だからやらないけど、語尾に限っては[m]の発音に「ム」を割当てる。「パ」、「バ」、「マ」行音の前でしか「ン」の文字を[m]と発音出来ないから、「ン」で語末の[m]は表現できないのだ。

逆に、パスポート申請時にヘボン式で名前を書く際に、「ン」の読みが「パ」、「バ」、「マ」行音の前だったら m と書くように指導される(息子の名前がそうだった)けど、それにはこういう理屈があった訳だ。

また、語尾に限って[ŋ]は「ング」の文字を宛てるけど、「グ」は「ン」とセットでこの発音を表すのに書いたもので発音はしない。これは、英語でも同様で、語尾が[ŋ]の場合の綴りは ng になるけど、g は発音しない。

所で、finger は[fɪŋɡə]だけど、singer は[sɪŋə]と g は発音しない。これは、音節の分け方が fin・ger と sing・er の違いがあるから生じる。

これらのカナ表現は「フィンガ」と「スィンア」と書くことにする。即ち、母音の前の「ン」は英語発音のカナ表現では[ŋ]と発音することにする。但し、日本語では、母音の前の「ン」は[m]でも[n]でも[ŋ]でもない鼻母音である。

一方、語尾の「ン」も日本語では鼻母音だが、こっちは英語発音のカナ表現では[n](「ヌ」という積りで)と発音しないと英語らしく聞こえない。

このように、私が提唱している英語音のこぶり式カナ表現は、発音がカナで表現されているとは言え、カナの通りに発音する訳ではない点に留意して欲しい。カナで表現した発音記号であり、その記号に対して英語の発音を割り当てているだけ(なるべくカナの発音に近い、又は連想できるように割り当てた積りだけど)である。

カナで英語子音の殆どは表現出来る

日本語ではもはや区别してない「ジ」と「ヂ」を[ʒ]と[dʒ]を書き分けるために使ったり、[v]を表す「ヴ」を使ったりすれば英語子音は殆ど表現出来ると言える。勿論、「ジ」や「ヂ」は「イ」の段だけ、「ヴ」は「ウ」の段だけ。他の母音との結合形はカナ文字にはないけど、小さな母音字を添えるという手段がある。例えば、「ヴァ、ヴィ、ヴ、ヴェ、ヴォ」とする。

この様に日本語本来の発音にない文字を作るのは、単に英語の発音を表すためだけではない。昔の日本人は d を「デー」としか発音出来なかったけど、今では皆「ディー」と発音出来る。明らかに日本語の発音の範囲が広がったのだ。これは、「ディ」という発音の記法を作ったお陰だと私は思う。

「ラ」行は L に譲る
ここまでやって出来ないのは、th音の表現と R と L の書き分け。th音は「タ」行と「ダ」行で表す事にする話は以前した。それで最後まで残った問題が R と L の問題。

このどちらも「ラ」行として覚えたらもう区别は不可能だ。だから、「ラ」行は L の為だけに使うことにする。母音の後の R は母音と結合してしまって R の音が消滅するし、L の音の方がより明瞭で子音らしいからだ。

では母音の前の R の音はどう表現するか。色々考えたけど、R 抜きにしようと思う。例えば、try は「トアイ」と書く。「オアイ」という母音はないから、「t アイ」という表現と分かる。しかし、「タイ」と書かなかったのだから、t と「アイ」の間に何かが在りそうだ。それが隠された R である。

しかし、この方法でも語頭が R の単語ではお手上げである。仕方がないので、省略記号である「'」でも付けてみるか。せめて視覚的に R の存在が分かるように。例えば、run は「'アン」と書く。

そうすると、try も「ト'アイ」と書けば良いか。母音の前の「'」は R を表すという規則。
後日談: ローマ字入力手段を定義していると、やはり「ら行」は r を使わないと一般には受け入れて貰えないと考え直した。それで、l の発音には新しく、「るら」、「るり」、「るる」、「るれ」、「るろ」 を使うようにする。但し、子音単独は「る」で構わない。
この方法は意外と使える気がする。調子に乗って th音の表現にも使うことにする。英語音から th音を抹殺するのが非英語話者の総意だとは思うけど、現状は容認せざるを得ないから、視覚的に区别しておこう。「タ」行、「ダ」行の前の「'」は th音を表すという規則。ここで隠しているのは t を th に変化させる記号なのだ。例えば、this を「'ヂス」と書く。「'ディス」と書く必要はない。「'」が付いていれば th音と「ア、イ、ウ、エ、オ」の結合した音と分かるから。

この表現なら、以前「フ」を使ったほうが良いかも、と思っていた語尾の th音でも違和感なく使えそうだ。例えば、bath を「ベヤ'ツ」と書く。

以上で英語子音を全てカナ文字化出来た。少なくとも視覚的には、このかな文字から完全に元の英語子音を再生出来るはずである。ただ、日本語のカナとして発音する時に「ジ」と「ヂ」、「ブ」と「ヴ」を区别出来るのか、「'」が出てきたときにどう発音するのかの問題は残るけど、書き分ける努力を続けていれば「ディー」が言えるようになったように、将来は区别して言えたり 聞き取れたり するようになるのかも知れない。