上の階からの騒音に妻が耐えかねていた。しかし、賃貸住宅にはもう引っ越したくないと主張する妻と意見が合わず、ずっと現状維持で留まっていた。所が、二年程前に上の階の住人に二人目の子供が出来てから騒音が酷くなる一方で、遂に不眠やら頭痛やらの症状が出てきたので、急いで引っ越すことにした。
私も神戸R不動産の物件をWebで見たりして、どんな所に住みたいのか考えたりしていたのだが、大抵は魅力的だが住みにくいという妻の評価だった。子供達が別居したのだから、今度はもっと小さな家にしようと私が言うと、孫(結婚もまだまだ先と思うけど?)を連れて来た時に困ると妻が言い返す。
昔は人並みに戸建て住宅を所有することに憧れていたけど、今は一生賃貸住宅で構わない心境だ。新築マンションのチラシに賃貸よりもお得ですと書かれているのを見る度にそう思う。
管理費、修繕積立金、固定資産税などの支払いを無視し、史上最低の変動金利を元に計算された35年ローンの返済額と全部込みの家賃を比較する意味がどこにあるのか。この先、金利が5%に上昇すれば返済額が2倍以上になることを書くべきではないのか。
集合住宅はエネルギーや資材や土地利用の面から見ても実に効率的な形態だが、共有部分の管理が大事だ。多くの区分所有のマンションは将来管理費を払えない人が増えてスラム化するものと私は信じている。百年後は乱立しているタワーマンションの殆どが危険な廃墟となることを憂いている。しっかりした大家が責任を持って管理する賃貸住宅こそが集合住宅に相応しい。(躯体は賃貸で、内装は自分の自由にできるスケルトン・インフィルという形態が自分にとっての理想だけど。)
一方、天変地異や騒音問題や収入の問題が生じても簡単に引っ越せるのが賃貸住宅の魅力だ。また、家賃は住宅の値段と比べても決して高くない。なぜなら、日本は(利便性の良い)土地の値段が高いのだ。だから住宅の値段が高い。一方、賃貸住宅の大家さんの多くは元からの土地持ちだ。だから、家賃は高くしなくてもやっていける。住宅を所有すれば資産になるって言うけど、維持するのも大変だし私の実家などは心理的には負の遺産に過ぎない。
結局、以下の条件で探すことに。
妻の要望。今より広い、騒音なし、エレベーター、駅近、平坦地、買い物便利。
私の要望。都市ガス、図書館、散歩に適した自然、大きな本屋、美味しいパン屋有り。
今住んでいる賃貸住宅と条件は大体同じだけど違っている所もある。今はエレベーターはないけど、1階だ。専用庭は魅力だけど、1階は湿気が多いし、騒音の問題解決なら今度は最上階だ。それと、駅前再開発が始まって大きな本屋が閉店した。今は坂の上に住んで(住民も使えるエレベーターが出来て楽になったんだけど)いるので妻は電動自転車を買えと言っているけど、私は電動自転車が嫌(自転車として邪道)だから平坦地という条件がついた。
検索のコツも覚えた。求めるのは豪華ではなく上質な物件。賃料の最低限を思いきった額(上質)にして、かつ面積の上限は狭めに(豪華でない)設定する。そうすると、家賃をケチっていた時には雑多な物件情報に埋もれていた好みの物件が厳選されてリストアップされるようになった。じっくりと吟味して不動産屋にこれぞという物件の見学を申し出た。