まず、利子に対しては個人、法人問わず15.315%の国税(所得税と復興特別所得税)と5%の地方税(利子割)が源泉徴収される。個人ではどんなに所得が少なくてもこの税金が還付されるということは無い。
しかし法人なら、利子を含めた所得全体に掛かる税金からこの源泉徴収分を引いてくれる。そして赤字で税金が掛からない場合は還付されるのだ。これこそ法人だけが持つ超能力と言えよう。
さて、前年度の利子は22円が普通預金口座に振り込まれた。これは源泉徴収された後の金額だ。ここから元の利子の額が27円、源泉所得税が4円、利子割が1円と計算(1円未満の端数は切り捨て)される。
計算の方法 会社の口座がある銀行は利息の振込額(X)しか表示しない。そこで、まず X/0.79685 の値を計算し、一円未満を切り捨てる(Y:税引前の利息の予想値)。Y*0.15315 の値を計算し、一円未満を切り捨てる(A:国税の予想値)。Y*0.05 の値を計算し、一円未満を切り捨てる(B:地方税の予想値)。Y-A-BがXと一致すれば、Yが利子額、Aが所得税額等、Bが利子割となる。一致しなければ、ずれた額だけYを増減して再度計算し直す。2回以内の繰り返しで一致するはずである。法人所得税はゼロだから、源泉所得税は4円全額が還付される。法人県民税は均等割額22,000円から利子割1円が引かれて21,999円となる。法人市民税は均等割額60,000円そのままである。
しかし、還付を味わうのもこれが最後。実は、普通預金口座を一昨年の10月頃に利子の付かない決済用普通預金口座に切り替えた。昨今の低金利で僅かな額しか利子が付かないのに、還付金があると申告がとてもややこしくなるからだ。提出書類も増えるし。
しかし、これで利子が付かなくなったと思ったら、切り替え迄に付いた僅かな利子が昨年2月に振り込まれた。今回の申告で、その還付金4円が今年振り込まれるから、その影響は来年の申告にまで及ぶ。
会社創業以来、法人税申告の度に頭を悩ませた還付金。その元となった課税前利子がいったい幾らだったのか調べたら、たったの4,547円(その間の法人税等は710,600円)だった。最初からこれを諦めていれば申告も随分楽になっていたろうに。
この超能力を積極的に投資に活かす道もある。円では金利が低すぎるが、もっと高金利の通貨の債権などを国内証券会社の口座を通じて(利子に対する税金が源泉徴収される)買って、その利子額を上回る経費を計上(例えば社宅を作るとかすれば合法的に現状よりも経費を増やすことが可能)すればよいのだ。
しかし、もはや私が自家用法人を維持する目的は節税にはあらず。家族を守る砦として、最も簡潔に手間なく一個人が運営出来ればそれで良い。そして、どこまで簡潔に出来るか挑戦するのが楽しいのだ。